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京都地方裁判所 昭和60年(わ)1186号 判決

本籍

京都府宇治市宇治善法二九番地

住居

同市宇治東山五一番地

会社役員

青山健造

昭和六年八月一五日生

右の者に対する相続税法違反被告事件につき当裁判所は検察官山田廸弘出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年及び罰金二〇〇万円に処する。

右罰金を完納しないときは、金二万円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。

右懲役刑については、この裁判確定の日から三年間その執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、奥村典子、奥村文治、上田幸弘、戸山孝、岩崎義彦、全日本同和会京都府・市連合会会長鈴木元動丸、同連合会事務局長谷部純夫及び同連合会事務局次長渡守秀治らと共謀の上、右典子の実父で右文治の養父である岡村博司が昭和五九年四月二七日死亡したことに基づく右典子及び右文治の各相続財産にかかる相続税を免れることを企て、右典子の相続財産にかかる実際の課税価額が一億九、五六二万九、三四三円で、これに対する相続税額は七、四一九万八、四〇〇円であり、右文治の相続財産にかかる実際の課税価額が一億六、六八七万二、八四九円で、これに対する相続税額は六、二九九万八、六〇〇円であるにもかかわらず、被相続人の右奥村博司が有限会社同和産業(代表取締役鈴木元動丸)から二億九、六五〇万円の債務を負担しており、右典子においてそのうちの一億五、九〇〇万円を、右文治において同じく一億三、七五〇万円をそれぞれ承継したと仮装するなどの行為により、同年一〇月二九日、京都府宇治市大久保町井ノ尻六〇番地の三所在所轄宇治税務署において、同署長に対し、右典子の相続財産にかかる課税価額が三、六六二万九、三四三円で、これに対する相続税額は三九八万四、七〇〇円であり、右文治の相続財産にかかる課税価額が三、〇二万八、三四九円で、これに対する相続税額は三三三万四、二〇〇円である旨の虚偽の相続税の申告書を提出し、もって不正の行為により右各相続にかかる右典子の正規の相続税額七、四一九万八、四〇〇円との差額七、〇二一万三、七〇〇円を、右文治の正規の相続税額六、二九九万八、六〇〇円との差額五、九六六万四、四〇〇円をそれぞれ免れたものである。

(証拠の標目)

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書(検第26ないし34号)

一  中川敏夫、藤井孝三、奥村典子(二通)、奥村文治(三通)、戸山孝(三通)、上田幸弘(五通)、岩崎義彦(四通、但し検第21号の第一三項中一一行目から一五行目までを除く)及び渡守秀治(二通)の検察官に対する各供述調書(謄本)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書及び証明書(謄本)

(法令の適用)

判示所為

刑法六五条一項、六〇条、相続税法六八条(刑法五四条一項前段、一〇条により一罪として犯情の重い奥村典子の脱税についての罪の刑に従う)

刑の選択 懲役の罰金の併科刑

労役場留置 刑法一八条

執行猶予 懲役刑につき同法二五条一項

(裁判官 長崎裕次)

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